ご寄稿
三皇熊野神社禰宜 金山智紀
秋田市の夏祭りの一番手であります三皇祭の御神幸祭(神輿渡御)は以前は、例祭日の7月11日でしたが、かねてからの祭典関係者皆様のご要望により、より多くの氏子の皆様、特に若い人たちや子供たちにも参加をいただき、地域の伝統文化を継承する三皇祭諸行事が安全に、より盛大に執行できるようにと、平成14年より7月第二日曜日を本祭、前日が宵祭となりました。御神幸祭は、明治29年(1896)に神輿が新調された年に初めて行われ、白張(はくちょう)(白い装束)を着て神様の持ち物である、弓矢、祭矛、旗等の威儀物(いぎもの)を持って神輿と一緒に渡御行列に参加した子供のころの思い出のある方も多いかと思います。現在のお神輿は、台座4尺・総欅造り、総重量約800キロ(担ぎ棒を含む)で、平成10年に新調されました。宵祭りでお神輿に神様(御分霊)がお移りになり、本宮を出立、お旅所の里宮に一泊され、本祭当日お旅所祭を行い、年に一度氏子地域の各町内を巡り、直接氏子の生活をご覧になり、本宮にお戻りになられます。神道では、『魂振り』と言って、神様の鎮まっている御神体を振り動かすことによってご神威が昇まると言われ、神様がお乗りになったお神輿を激しく揺り動かすことで、ご神威が増すとともに、お神輿を担ぎ、渡御奉仕する人達は勿論、地域にも生命力と繁栄をもたらし、豊作、豊漁、商売繁盛、疫病の退散が叶えられると信仰されております。三皇祭は、百十年来変わることなく祈りの形を継承している、地域の無形文化遺産であります。先人の守り伝えてきた祭り、特に心の部分を確認しながら、三皇祭の諸行事にご参加いただければ幸いに存じます。
(平成19年6月ご寄稿)